楽譜に書いてあるとおりにペダルを踏むと、ほぼ100%、音はにごります。
ペダル記号は、音符の真下に書いてあることがほとんどです。
そして、楽譜どおりのタイミングで、音符を弾くのと同時にペダルを踏むと、ほぼ確実に、にごってしまうのです。
にごらないためには、打鍵からほんの少しだけ時間をおいてから、ペダルを踏む必要があります。
もちろん、同時にペダルを踏んだほうがよい時も、時々はあります。
ただ、ほとんどの場合は、同時に踏むと、確実ににごってしまいます。
この、「ほんの少しの時間のずれ」をもってペダルを踏める人を、「センスがある」などと言ったりもします。
そして「ペダルは足で踏むな、耳で踏め」といった格言(?)も生まれたりします。
けれども、そんなことをご存じない人のほうが、圧倒的に多いのが現実です。
そこで、「この位置で踏めば、ペダルがにごらない」という位置に、ペダル記号を書き換えたのが渡部 由記子流「にごらないペダル」です。
レッスンでは、もちろん「にごらないペダル」記号を使って、ご指導しております。
「にごらないペダル」表記は、ブルグミュラー25の練習曲 和音記号・コードネーム付きでも、採用していただきました。
印刷された楽譜で、音符の真下にペダル記号を書かないのは、かなり画期的なことです。
出版社(東音企画)の英断に深く感謝しております。
ちなみに、赤松林太郎先生が、東音ホールで開催されたブルグミュラーの講座のなかで、本書に触れられ、「にごらないペダル」記号を褒めてくださったそうです。
ちなみに、こちらの書籍は、初版(2015年9月1日発行)は残念ながら印刷ミスのため、せっかくの「にごらないペダル」が正しい位置に記載されておりません。
出版社によると、楽譜の初版はミスがあることも少なくないらしく、部数も少なめに刷っているとのことです。
せっかく初版をお求めくださった方には、大変心苦しいのですが、こうしたミスは第2版(2015年10月1日発行)では改められているそうです。