芸高合格者の共通点:ピティナ・コンペの偉力

生徒さんの中には、芸高(東京芸大の付属高校)に合格なさる方もいらっしゃいます。

以前、芸高合格者には2つの共通点があると、お二人の例を具体的に取りあげてご紹介したところ、かなりの反響をいただきました。その内容を、あらためてご紹介いたします。

一つ目の共通点は、毎年欠かさずピティナ・コンペティションを受験していたこと。

二つ目の共通点は、芸高受験の直前に、アールンピアノコンクールを受験していたこと。

これは偶然でも、単なるご利益アップのおまじないでもありません。

なかでも盤石の基礎力を鍛える場となった、ピティナ・コンペティションについて、特に2つの特筆すべき点をお話いたします。

 

  1. ピティナで4期の曲を網羅することが、盤石の基礎を造る

  2. ピティナでは丁寧な講評を得られる

 

X君は、小学校3年から魔法のレッスン室に通いはじめ、B級からD級までを受験し、全ての級で全国大会に出場していました。

Yさんは、幼稚園年少から魔法のレッスン室に通いはじめ、A2級からF級(高校2年生・3年生の部)までを受験し、全ての級で全国大会に出場していました。

お二人とも、年によっては全国大会の出場に至らず、翌年、同じ級に再度チャレンジして全国大会に進出したこともありました。

Yさんの場合、一回目のチャレンジで全国大会に進出した級でも、「入賞者コンサートに出たい!」という、本人の願いを叶えるため翌年も同じ級を受験したこともありました。

そして彼女は見事、入賞者コンサートに出場しています。

このように、お二人とも毎年かかさず、ピティナ・コンペを受験していました。

単にピティナ・コンペが趣味…なわけではありません。

ピティナ・コンペティションには、実力を飛躍的にアップする数々の仕掛けがあるのです。

実は、X君は「常識」的、表面的な評価では、とても他の芸高受験者には敵わない「進み」具合でした。

芸高の課題曲ではバッハの平均律が出題されたのですが、彼は一曲も平均律を練習したことがありませんでした。

バッハでは平均律より先に終えるインベンションも、途中まで。シンフォニアも、数曲しか練習したことがありませんでした。

それでも芸高に合格したのは、決してまぐれではありません。

彼は毎年のピティナ・コンペで、揺るがない実力をつけていたのです。

 

ピティナの偉力・その1:課題曲が4期にわたるので、さまざまなスタイルを徹底的に学べる

 

X君は毎年、ピティナのバロック課題曲に取り組むことで、ポリフォニーをしっかりと勉強していました。
それで、未経験のバッハ平均律にも対応できたのです。

X君はB級から、YさんはA2級から、どんなに小さな、簡単な曲であっても、毎年コンクールを通じてバロック、クラシック、ロマン、近現代の4つのスタイルに、深く、丁寧に取り組んだことで、着実に、しかも大幅に実力を伸ばしていったのです。

コンクールで曲に深く取り組むことは、驚くほどの実力アップにつながります。

通常、コンクールでは課題曲が発表されてから本番まで、半年ほどあります。

半年の間に、たった数曲(ピティナでは4曲)を深く掘り下げることができるのです。

教則本を進める練習では、一つの曲に何ヶ月もかける機会がありません。
ある程度までできたら、次の曲に進むのが普通です。

それに対して、コンクールの準備では、どんなに級の低い(対象年齢の低い)課題曲であっても、深く、深く、曲に取り組みます。

級を問わず、どんな曲でも、私が求める音楽のレベルに対して、その1/3に達していれば全国大会に出場しています。

半分まで達していれば、金賞を受賞します。

芸高受験では、課題曲のレベルがもっと高くなりますが、私の求めるレベルに対して、1/3に達していれば合格しています。

実際、実技試験の直前、最後のレッスンの際に「音楽としては、もっと、もっと先がある」けれども「この学年に求められるレベルとしては充分だ」とお伝えしていました。

そして合格。

平均律を練習したことのなかった彼も、4期にわたるピティナ・コンペティションの課題曲に、毎年欠かさず、ていねいに取り組んできたことで、それぞれのスタイルを深く理解していました。

それが伝わる演奏だったから、合格したのです。

巨匠と呼ばれる演奏家は、自分の演奏に一度も満足したことがないと言います。

そんな「満足いかない」程度の演奏にも、私は感動で打ち震え、涙します。

それくらい、音楽とは奥が深く、巨匠が追い求めている理想は、私などには想像もつかないほど、高く美しいのです。

コンクールは、音楽を深く追求する機会を与えてくれる、絶好の場です。

そして、ピティナ・ピアノコンペティションは、バロック、クラシック、ロマン、近現代の4つのスタイルを網羅している、優れたコンクールなのです。

まとめ
ピティナの偉力・その1:課題曲が4期にわたるので、さまざまなスタイルを徹底的に学べる

なお、由記子流のコンクール取り組み法については、著書『コンクールで育つ「生きる力」』に詳しく解説しております。

予選を一度も通過したことがない生徒さんでも、渡部 由記子のレッスンを受けた年には全国大会に出場したり、金賞を受賞するところまで実力アップする方が、たくさんいらっしゃいます。

数ヶ月にわたる練習計画の立て方や、モチベーションの維持法、
本番で最高の演奏をするためのイメージトレーニングなど、由記子流の「魔法」を一挙に公開しています。

また、前年に予選落ちしたけれども、渡部 由記子のレッスンを受けて、実際に全国大会に出場したり金賞を受賞した方々の記録も、ご家族が書いていたノートや、生徒さんの目標表明コラージュ(イメージトレーニングの一貫)などの写真入りで、ご紹介しています。

実際、この本を読んだことで、それまで予選を通過できなかった方が、本選に進まれたり本選を通過できていなかった方が、全国大会に出場できたという嬉しいお話を、指導者の方々から伺っております。

 

ピティナの偉力・その2:透明度の高いフィードバックが実力アップにつながる

 

ピティナ・コンペでは、審査員の署名入りで細かいコメントがもらえます。
また、点数も開示されています。

そこで、「合格したけれど、ギリギリだった」、「不合格だったけれど、とっても惜しい、合格に近いところまで来ていた」といった自分のレベルがどの程度まで達していたのかを、具体的に知ることができます。

それはピティナ・コンペティションだけを経験された方には、当たり前のように感じられるかも知れません。

けれどもコメントが付かなかったり、点数が開示されない、どの審査員がどんな評価をしてくれたのか分からないコンペティションが、ほとんどなのです。

開示しないのには、それなりの理由があると思います。
けれども、コンクールを通じて自分を高めていこうとする立場からは、このようなフィードバックがなされることが、とても役に立つのです。

透明度の高いフィードバックを受けられるピティナ・ピアノコンペティションを毎年受験し続けていたことが、芸高合格につながったことは確かです。

ちなみに、ピティナではコンペティション以外にも丁寧な評価を得ることができる機会が設けられています。

ステップです。

ステップの場合は、コメントをお書きするのは審査員ではなくアドバイザーと呼ばれます。

私も、全国各地のステップでアドバイザーを務めています。

渡部 由記子が主宰する日比谷ゆめステーションでは、毎年春と秋にステップを開催しています。

ステップのアドバイザーは時間交代するのが通常なのですが、日比谷ステップでは、渡部 由記子は交代しないで全ての参加者にメッセージをお書きしています。

 

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